日本・新潟県トキ保護シンポジウムにて       曹永漢

「トキを軸にした島づくり」      20011019

主催:環境省・新潟県・佐渡市町村会・トキシンポジウム実行委員会

後援:農林水産省・佐渡青年会議所

場所:両津市 佐渡島開発総合センター

  19日  シンポジウム  ・   20日  現場見学

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日本・新潟県トキ保護シンポジウムにて 

 曹 永 漢 CAO YONGHAN

                            通訳・翻訳 水田はなか

 

トキ研究専門家の皆様・ご来場の皆様 こんにちは!

この貴国の美しい島・佐渡で、この度トキ保護に関する学術シンポジウムに

参加できた事を、私は大変喜んでおります。まず最初に貴国の環境省野生生

物課課長黒田大三郎先生と新潟県の皆様、佐渡の皆様、そして新穂村やシン

ポジウム関係者の皆様に感謝を述べさせていただきます。なぜならば、この

たびの招聘があったからこそ、ここで私の第4回目の佐渡訪問が実現し、旧

知の古い友人達と再会でき、新しい友人とまた知り合い、共にトキ保護に関

する意見交換をさせて頂くことが可能となったからです。

 特に昨日、私は佐渡保護センターでわが国の江主席、朱総理から貴国に贈

呈した“ヨウヨウ”“ヤンヤン”や“メイメイ”を見て、そして彼らがもう

けたヒナ達がみんなあんなにも健康で美しく成長している様子を見て、本当

に心から感激し、気分が晴れ晴れと奮い立ちました。思えばこの20年の間、

佐渡でこれだけのトキを見たことがあったろうか。しかし今、ここには既に

18羽のトキが生存し、やがてもっともっと多く繁殖していく事だろう。こ

れは、私たち両国のトキ保護活動をしてきた者たちが上げた成果であり、中

日両国人民の友誼のたま物、結晶とも言うべきだろう。

 ご承知のとおり、かつてトキは広く中国、日本、朝鮮半島およびロシアの

極東地区に分布しておりました。本世紀後半以降、人類経済活動の急激な影

響を受け、トキ生息地の自然環境は留まる事無く悪化していきました。生息

の分布区域は迅速に縮小し、トキの群れ数は急激に減少していったのです。

1970年代後期に至ると、ロシアと朝鮮半島のトキは相次いで絶えていき

ました。

中国でも60年代後半の頃になると伝統的なトキの生息地においても、もは

や単発に或いはまれにしかトキの群れを見ることが出来なくなりました。そ

の後の1981年、中国科学院動物研究所の劉陰増先生がやっと我が陜西省

洋県ヤオジャゴウ(姚家溝)でトキを発見したのですが、発見当時はたった

の7羽でした。トキの新たな発見に対し、陜西省人民はただ其れを誇りに思

っただけでなく責任の重大性をも感じたのでした。20年来、わが中国林業

局の指導のもとで、陜西省内の各行政部門や関係部門はトキを焦点的に重視

して参りました。前後に約数百万元の費用を投じ、数々な有効な措置を講じ、

この珍しい鳥類であるトキの保護及びその救済に費やしました。

 まず第一に、機敏で効率性高い保護管理チームを設けました。

1981年トキが発見されると、洋県人民政府は即座に4名の保護班を作り、

ヤオジャゴウに駐在させ、保護活動を開始させました。1986年、陜西省人

民政府はトキ保護観察ステ‐ションの設立を批准許可し、前後に17名の専

門管理者を配属させました。トキの営巣区域では観察小屋を設け、専従者を

定めて責任を明白確実にしました。1990年には更に20名の野外専業巡回

保護員を配置させ、トキが日常活動する里の集落には8名の監視保護要員兼

情報収集員を配置させた。これらのスタッフにより随時トキの活動情況を報

告させ、観察保護にかかる第一次資料を提供させました。

 第二に、トキの繁殖期における観察保護管理業務の強化である。

長年の間、トキの保護業務に関わる者たちはそれぞれに観察小屋、保護小屋、

保護ケージ設備の設置、保護ネットの設置など、専門要員としてトキの保護

業務に携わってきました。また定期的に餌場作りをするなど多岐にわたる措

置を講じ、非常に高い水準でトキの繁殖期における安全を確保し、大いに繁

殖効果を高め、トキの生存率を高めました。統計によれば1981年度から2000

年までの間、野生トキの巣は118箇所、産卵数は365個、孵化した雛は279

羽、成長し大自然に飛び出した幼鳥トキは216羽である。今年度、野生トキ

の巣作り数は31ペア、産卵した巣の数は25個所、孵化し成長した幼鳥ト

キは55羽である。野外で確認できる野生トキの数は150数羽余りである。

1981年にトキの営巣区域1個所が発見されて以来、現在の19個所となる

までの間、その活動範囲は元の洋県内の集落からすでに城県、漢中、南鄭、

勉県及び佛坪の7県区域に渡っており、現在およそ3000平方キロ余りに

及んでおります。

 第三に、あらゆる可能性を探り、トキの安全繁殖及びその生息地における

生態・自然環境・社会環境を最善に作ることである。長年に間、トキの活動

区域においては一切の狩猟活動を禁じました。トキの営巣区域においては樹

木の伐採、開墾を禁じ、流動人口の流入を厳しく禁じてきました。餌場とな

る区域においては農薬の使用を禁じ、厳しく科学汚染を制限してきた。これ

らは顕著にトキの生息区域の生態環境を改善するのに役立ちました。日常に

おいても、現地住民に対する法的宣伝活動の実施し、発生する問題点を正し、

科学知識を普及させながら一般住民に植栽運動を拡大させ、養殖業を拡大さ

せる事で大いに庶民らにトキ保護に対する関心と自覚をもたせる事が出来、

これによって人的災害を途絶させることが出来ました。

 第四に、トキ飼育救護センターを設立し、人工飼育・繁殖による記録的な

繁殖成果を上げる事が出来た事である。1990年度に「陜西トキ救護飼育セ

ンター」を設立し、2期の拡大工事を経て、当面の規模に達している。現在

敷地面積1.5ヘクタール、うち飼育ケージ鳥舎24個、計840平米、ドジョ

ウ飼育養殖池3000平米、人工水場・湿地5000平米である。11年来、こ

のセンターにおいて救助した野生トキの明細は、けがや病気の幼鳥25羽、

うち13羽が生存している。人工繁殖によるトキの生存数は148羽、うち今

年度人工繁殖した数は47羽である。この絶滅寸前の珍しい鳥類の為に、大

きな貢献を残したと思っております。1999130日、江沢民主席は貴国

に“ヨオヨオ”と“ヤンヤン”を贈り、20001014日、朱容基総理は

“メイメイ”を贈りました。これらは皆、この飼育センターで繁殖出生した

トキである。

 第五に、積極的に科学的研究を展開することである。長年に渡り、トキ保

護に携わる者たちと科学研究者らは共にトキを各方面で意見交換をし、かつ

研究してきました。生態生物学、病理学、人工飼育や繁殖、疾病防止、生息

地での環境調査や保護、さらには無線感知機による動向調査等々です。とも

に大量かつ価値ある研究成果を残している。私たちはこれら資料に基づいて

保護業務を指導し、徐々に仕事を科学的根拠化、規範化に仕向け、効率を上

げております。

 多くの諸外国組織や友好的な各界の人々、特に日本政府は中国のトキ保護

に対し絶大なる協力と支持をして戴きました。トキ保護・救済にかかる募金

活動による資金の提供や野外活動に必要な交通工具、通信機器の提供などな

ど。中国のトキ保護事業を大いに発展させてくれました。ここにあらためて

心から感謝を申し上げる次第です。

 トキの群れは確かに拡大しました。しかしトキの保護業務はまだまだ終わ

る事がありません。まだ湿地帯は減少傾向にある事、トキの餌が激減してい

る事、休息地たる林に限りがある事、そして人工繁殖したトキの群れをいか

に野生化させていくかなど、研究すべき解決すべき難題は山積みである。今

回のシンポジウムを通し、トキの生息地をいかに保護するか、その解決法や

対策をより一層深くさぐっていきたいと願っております。

 ご参加、在席の皆様、世界においてもトキは絶滅寸前の貴重な鳥類です。

確実にその保護をやることは私たちに課せられた歴史的な責務だと私は思

っております。私は心からご在席の専門家・研究者の皆様と、有志、友人の

皆様とともに広く交わりたく、誠意を持って協力を惜しみません。

ともにトキ保護の仕事に携わり、努力してゆきましょう。

 みなさん ありがとうございました。

 

                             佐渡にて