朱鷺保護および住民生活圏の管理

         曹永漢  芦西営  傳文凱

       (陜西省自然保護区・野生動物管理ステーション 1999年発表)

                             翻訳:水田はなか

                            ミズコーポレーション 

趣旨:本文献は朱鷺発見以来これまでに行った保護方法及び生活圏において講じた措置

をまとめたものであり、現存する問題点を分析し、対応する対策を提案したものである。

 

1 朱鷺保護

 トキの新たな発見は中国を当面の唯一世界で野生トキを有する国家として位

置付けた。これに対し中国政府各部門及び林業主管部門は大いに注目し、前後

に多くの保護及び救済の政策を打ち出し、この絶滅危惧の貴重な動物をいかに

救い、より一層の生存拡大及びその定着の可能性に力を注いだ。

 

11 トキ保護の管理体制を確立させ、初期的な専門部隊の形成。

1‐2 保護および生息地の改善に対する措置を講じる。

        保護及び営巣区域の環境改善

  1トキの営巣区域においては四つの禁止を実施。

    @狩猟の禁止 A伐採の禁止 B雑木林開墾の禁止

     C田んぼ内の化学農薬の禁止・化学肥料の使用制限

  2繁殖営巣区域にある51本の大木を国の保有樹木とし、記号を付け厳重

   に管理する。

  3毎年の秋及び冬に田んぼを耕し、田に水を張る。これにより冬季におけ

   るトキの餌を確保すると共に、繁殖期にも十分な餌を確保出きる。更に

   は冬場の水田面積750ムー(約500ヘクタール)を改造する。

  4人工造林を積極的に進め、開墾済み田畑を植裁し、森林に戻す。1986

   度より今日に至るまでトキ生息地では既に3.5ムー(約2.4ヘクタール)

   に及ぶ植栽面積を完成している。

        繁殖期の監視保護の強化

 1 繁殖期に営巣区域内に固定した観察小屋を設定し、専門人員で昼夜に渡

  り観察を行い、詳細に渡り記録を残し異常発見の都度、報告及び有効な

  措置を講じる。

 2 巣の下の枝などに救助保護ネットを設置し、ヒナの落下・傷害を防止

  する。

        人工的に餌を補充する。

    繁殖生息区域における十分な餌を確保する事によって、繁殖可能な成鳥

   の正常な産卵を促進し、ヒナの孵化率の向上および成育率の向上につな

   げる。毎年越冬期及び繁殖期にそれぞれ営巣区域にドジョウを投入して

   いる。

    (トキの主なる餌はドジョウである)人工的に投入した累計高は12600

    キロ余りである。(12.6トン余り)

        人的救助を広げる。

    野外で病気、衰弱、ケガなどのトキを発見した際、即時に救護を実施す

   る。1986年以来、救助した野生の病弱ヒナは25羽、うち成育数13羽。

        遊とう期における観視保護をたえず強化する。

    観察保護に力を入れ、強化手段や保護効果を上げる。十数班に分け、バ

   イク6台、自転車20台を装備し望遠鏡20数個を備えた。基本的に即

   時、随時、正確にトキが里に下りる遊とう区域の餌場、寝ぐらなどの観

   察を正確に捉えた。

  

-3 トキの調査を継続的に行う。

   毎年、トキの活動区域において二度の調査を実施する。一回目は春の繁

   殖期に行い、もう一回は冬季あるいは秋の遊とう期に実施する。

 

2 住民生活圏の管理

   社会全体の各界および現地住民の普遍的な理解と協力指示を得る事は、

   トキ保護を行う上で重要な課題である。このため、前後に関連する生活

   環境区域におけるさまざまな措置を取った。

2-1        積極的に社会教育を行う。

   * 広く、深く、持続的にトキ保護・愛護の宣伝教育活動を展開した。

    毎年4月11‐17日に“愛鳥週間”を、9月に“野生動物保護法宣

    伝月間”を設定し、集中的に宣伝活動を広げた。

        トキ捕獲殺害犯を法に基づいて裁く。トキを殺害した犯罪者4名に

  対し、懲罰を下した。

        狩猟道具の管理強化。全県内に3237本ある狩猟銃を登録登記させ、

  手続き不備の者に対しては猟銃を没収管理した。また狩猟許可区域を

  設定し、解禁期を設けた。

22 住民を動かし保護に関与させる。

        有償報告制度を設けた。すべて野外において新しい巣、寝ぐら、餌場

  を発見した者と、病弱トキを保護した功労者に対しては有償褒美を与

  えた。

        現地一般住民を雇用・招聘等の方法で保護に関与させた。1990年より

現地雇用方式で資質、労働能力の高い若い要員を巡回スタッフとして

採用し、通年20名ほど確保した。

        積極的に生活区域のおける請負性を実施した。洋県政府は32の郷鎮

  行政部門及び6の中央政府、省政府駐在機関と相互にトキ保護及び野

  生動物保護責任協定契約2400通余分を交わし、トキに対する各界

  組織における責任感と積極性を高め、広く大衆にトキ保護の意識を高

  めた。

        トキ保護に関与するより多くの組織を拡大する。洋県人民政府と県内

  の動物医院や獣医とともに連携を取った救護班も前後多くのトキを救

  助し、重病の野生トキやケージ内のトキをも救っている。

23 地元生活区域の経済発展を促進

        現地の林業や養殖業の発展に力を注いた。繁殖生息地区における経済

樹木の植栽を奨励した。たとえば栗や薬用樹など7000株を植え、地元

住民たちの経済的助けとなった。

        電気、水道工事の実施。繁殖生息地における住民の生活用電気、水の

便を解決した。

        住民の交通便の改善。ヤオジャゴウ営巣地区における道路、草寝グラ

地区の道路の改善を行った。

        上納穀類に対する措置と補助金。現地住民の経済的利益とトキ保護に

        対する積極性を高めるため、上納する穀物量の減少や免除、また損失

部分に対しては補助給付を行った。

 

 3 保護管理は効果を上げた。

 

 4 問題の提起

    確かにトキの群れの数に顕著な延びを見ることが出きるが、現地に

おける経済的的問題点の存在と矛盾点は見逃せない。まだ多くの不利な

要因が引き続きトキの群れの拡大及び成長に影を落としている。そのた

め以下の措置を是非講じることを提案したい。

        積極的に現有の自然集合林を保護し、植栽造林活動を強めるべきであ

る。

        湿地保護計画を策定し、現有の湿地帯を保護改善し、冬季における田

興しと水貼りを積極的に行い、トキに十分な餌を提供すべきである。

        主たる生息地において、例えば繁殖営巣区域、寝グラ区域、休息区域

となる区域の樹木の保護を強化し、伐採を禁じると共に現地住民に一定の

経済保証を行うべきである。

        保護活動の宣伝活動を拡大し、漢江周辺の観察保護を強化し、人的被

害によるトキの傷害事件を防止すべきである。

        早急にトキを野生に解放す研究をすすめ、野生化させるべきである。

    

 

主要参考資料:(著者、編者省)

1 社会林業研究探索     雲南科技出版社      1995

  2 人と公園‐保護区と地元社会の関連

            林業部世界銀行借款項目管理センター 1997

  3 保護生物学概論   湖南科学技術出版社       1996

  4 中国朱鷺保護の現状と対策  環境雑誌        1994